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なぜDXは業務の可視化から始めるべきなのか?成功企業の共通点

DXを推進する企業は増えていますが、その多くが「思ったように成果が出ない」という壁に直面しています。原因を探ると、共通しているのは 業務の全体像が見えないまま進めてしまったこと。

システム導入や部分的な効率化だけでは、持続的な改善やROIの最大化にはつながりません。

一方、DXに成功している企業は必ず「業務の可視化」から着手しています。本記事では、DXが失敗する典型パターンと、なぜ業務可視化が第一歩なのか、さらに成功企業に共通する進め方を解説します。

DXが失敗する典型パターン

DXが失敗する典型パターン

業務可視化・改善の現場に長く携わってきたプロの視点から見ると、DXが失敗に終わる企業にはいくつか典型的なパターンがあります。

①部分最適にとどまり、全体最適に至らない

現場主導の改善は小さな成果を生みますが、それが部門ごとの「局所最適」にとどまると、全社の利益にはつながりません。例えば、営業部門だけがSFAを強化しても、バックオフィスとの受発注プロセスが旧態依然のままでは、全体としてのスピードや生産性は上がりません。

②投資したのに効果が測れない(ROI不明確)

システム導入や外部コンサルの投資をしたにもかかわらず、成果が曖昧なまま終わるケースは非常に多いです。これは「改善前の基準値(As-Is)」が見えていないために、改善効果を定量的に測れないことが原因です。結果として「投資額に見合ったリターンがあるのか?」を経営層に示せず、次の投資判断が止まってしまいます。

③担当者ごとに業務が属人化してしまい、再現性がない

業務が「誰かにしか分からないブラックボックス」になっていると、改善の持続性はありません。例えば、ある担当者がエクセルやマクロを駆使して効率化を実現しても、それが組織の標準に落とし込まれなければ、退職や異動と同時にノウハウは消え去ってしまいます。DXは「個人の工夫」ではなく「組織の仕組み」に昇華させなければ成功しません。

④DXを「ツール導入」と誤解して、業務改善につながらない

「RPAを導入したからDXだ」「クラウドを使ったからDXだ」という勘違いは非常に多いです。ツールはあくまで手段であって、目的は「業務全体の最適化」と「継続的な改善サイクルの定着」です。ツール導入ありきで進めると、現場の課題を無視したシステムが乱立し、かえって業務が複雑化することさえあります。

このような典型的な失敗の背景に共通しているのは、「業務全体を正しく可視化できていない」ことです。可視化が欠けたままDXを進めても、的外れな投資や属人化が積み重なり、期待した成果にはつながりません。

なぜDXの推進は "業務の可視化" から始めるべきなのか

なぜDXの推進は "業務の可視化" から始めるべきなのか

DXを成功に導く上で、最初にやるべきことは「業務の可視化」です。これは単なるフロー図の作成ではなく、企業全体を俯瞰できる“共通の土台”をつくることに他なりません。可視化を抜きにしてDXを進めると、方向性を見誤り、前のブロックで触れたような典型的失敗に直結します。

①「現状のボトルネック」を特定できる

改善の出発点は「どこに無駄や滞留があるのか」を把握することです。業務可視化によって、各部門・各システムのつながりを一望できるようになれば、属人化した業務や二重入力などの“隠れたボトルネック”が浮き彫りになります。ここを押さえずにDXを進めると、費用だけかかって改善インパクトは小さい、という事態に陥りがちです。

②データドリブンで改善効果を議論できる

可視化を進める際には、プロセスマイニングのようにシステムログや実績データを取り込み、事実ベースで分析することが重要です。これにより「この業務は月間で〇〇時間のロスを発生させている」といった定量的な議論が可能になります。感覚や声の大きさに左右されない“ファクトベース”の改善は、経営層の納得を得やすく、投資判断もスムーズです。

③経営層と現場が同じ視点を持てる

DXが失敗する大きな要因の一つが、経営層と現場の目線がズレることです。経営層は「ROI」「ガバナンス」、現場は「使いやすさ」「工数削減」と、注目するポイントが異なります。業務可視化は、こうした異なる視点を一枚のプロセスマップに集約し、両者が同じ前提で議論できる環境をつくります。これが、全社的なDX推進の潤滑油になります。

④内部統制やリスク管理にも直結する

上場企業であれば避けられないJ-SOX対応や内部統制も、業務可視化と密接に関わっています。プロセスが整理されていなければ、リスクコントロールマトリクス(RCM)の作成やフローチャート整備に膨大な工数がかかります。逆に可視化が整っていれば、統制文書や監査対応にかかるコストを大幅に削減でき、ガバナンス強化と業務効率化を同時に実現できます。

要するに、業務可視化は「改善余地を見える化する鏡」であり、DXの成否を分ける最初の関門です。ここを飛ばしてツール導入に走るのは、設計図なしでビルを建てるようなもの。DXを持続的に成功させるには、必ず「可視化から始める」ことが必要なのです。

成功企業に共通する「業務可視化の進め方」

成功企業に共通する「業務可視化の進め方」

業務可視化は単に業務フローを描くだけでは効果が出ません。成功企業に共通するのは、「見える化 → 最適化 → 実行 → 評価」の循環を組織に根付かせていることです。プロの視点から、そのステップを整理します。

【ステップ1】As-Is(現状業務)の徹底的な可視化

まずは「現場で実際に行われている業務」を正しく把握します。

ヒアリングだけでなく、システムログや帳票データを活用したプロセスマイニングを組み合わせることで、机上の理想論ではなく“事実に基づいた業務フロー”が描けます。

ここで重要なのは、「例外処理」や「属人化しているタスク」まで可視化すること。これを怠ると、改善の効果が限定的になります。

【ステップ2】To-Be(あるべき業務像)の設計と仮説立案

可視化した現状プロセスをベースに、効率化やリスク低減を盛り込んだ将来像(To-Be)を描きます。

この際、いくつかの仮説を立てて「改善効果を数値で予測」することが成功の鍵です。

例)作業時間が30%削減   → 年間△△円のコスト効果
例)承認プロセス短縮  →  サービス提供リードタイム△日改善

数字をもとに経営層へ説明できれば、次の投資判断がスムーズになります。

【ステップ3】実行と改善サイクルの定着

設計したTo-Be業務を、ローコードツールや自動化技術を用いて素早く実装します。

実装後は「評価とフィードバック」を必ず行い、改善サイクルを回すことが重要です。

成功企業は「一度の改善」で終わらせず、PDCA(またはOODA)のループを業務に組み込み、“改善が文化になる”仕組みをつくっています。

【共通点】トップダウンとボトムアップの融合

成功している企業は「経営層のコミット」と「現場の主体性」の両立を実現しています。

可視化された業務プロセスを“共通言語”にすることで、経営と現場が同じ図を見ながら議論できる。

これにより、トップダウンの戦略とボトムアップの実行力が噛み合い、DXが持続的に進むのです。

要するに、業務可視化は「一度やって終わり」ではなく、「改善を続けるための仕組みづくり」です。ここを徹底できているかどうかが、DXの成功企業と失敗企業を分ける最大のポイントです。

【まとめ】なぜDXは業務の可視化から始めるべきなのか?成功企業の共通点

DXを成功させる企業は、決して「ツール導入」から始めていません。

最初にやるべきは、業務の全体像を正しく可視化し、改善余地を定量的に把握することです。そこから最適化・実行・評価のサイクルを回すことで、ROIを明確に示しながら持続的な改善を実現できます。

DXの成功企業に共通する答えはシンプルです。「DXは業務の可視化から始める」の原則を押さえることこそが、真のデジタル変革への第一歩です。

本記事のポイントまとめ

  • 業務の可視化はDXの第一歩であり、現状把握と課題発見、改善効果を測るための基盤となる
  • 属人化を防ぎ、全社視点での最適化を進めることで、効率化と生産性向上を実現できる
  • 成功企業は「可視化→最適化→実行→評価」のサイクルを組織文化として根付かせている

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