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【規制緩和ニュース】株の空売り規制緩和を発表(金融庁)

株の空売り規制緩和を発表(金融庁)

金融庁は2013年3月7日、リーマンショック以降に禁止としていた株の空売りに関する規制を緩和すると発表した。

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これまで株の空売り規制

リーマンショック以降、株の空売りについては株価の下落に拍車をかけることとなるとして、市場価格を下回る値段での空売りを一律禁止としていた。例えば市場にあるどんな株であろうとも、価格1,000円の株に対して950円を指値とした空売りは規制されていた。

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規制緩和による株の空売り

今回の規制緩和によって、この株の空売りの一律禁止というものが、変動の激しい銘柄に限定して禁止に変更された。
理由としては、リーマンショックから数年経過し、日本の株式市場も正常化してきたことを受け、株の空売りによる市場のかく乱の可能性が低くなったことが挙げられる。
政府としては市場混乱による有事から、平時に移行する出口戦略としても位置づけている。

引き続き規制対象となる変動激しい銘柄とは

株価の前日の終値と比較し、10%以上の低い価格に達した時点で、これまで禁止されてきた空売り規制の対象となる。
先程の例で言えば、前日の終値1,000円の株に対して、当日の株価が900円以下に達した時点で、規制対象となる変動激しい銘柄と認定され、空売りの規制対象となる。

欧米、日本の空売り規制について

これは欧米では、このような限定的な規制をアップ・ティック・ルールと呼ばれ、10%という基準を起点に発動する方式をトリガー方式と呼んでいる。

欧州では現在このアップ・ティック・ルールは採用していない。米国は2007年に一度撤廃したが、リーマンショックなどを起点とした急激な株価変動の抑制を狙い、このルールを再度取り入れた背景がある。

一律禁止と全面的に規制をかけたのは日本だけであり、世界的に見ると少数派であったが、今回の規制緩和によって米国に近い形に変わることとなる。

PTS市場も対象に

夜間取引などで知られるPTS(私設取引システム)についても、これまでは空売りの規制対象外であったものを、これからは一般市場取引と同等の扱いとし、新たに規制の対象となる方針だ。

今後のスケジュール

2013年3月7日の金融庁による方針発表をはじめ、これから内閣府令改正案に取りまとめる流れとなる。
規制緩和の検討については2013年4月8日まで、一般から多くの意見を聞いたうえで、2013年夏ごろまでには公式に発表する予定。
最終的には2013年11月を目処に実施する方針で進められている。

現在の規制について

リーマンショック以降に制定された、この株の空売り規制も、実は時限措置のため2013年4月末の期限を迎えて失効となる。
しかし、この時限措置も、規制緩和の実施を予定している2013年11月まで延長する方針だ。

ポジション報告・公表制度も緩和する方針

株の空売り規制と同時期に現在保有しているポジション報告・公表制度も施行されていた。
これは発行済株式数の0.25%以上に相当する空売りポジションを持っている場合、そのポジション情報を報告しなければならないほか、それらの情報の公表までも義務付けされていた。

今回の規制緩和によって、保有するポジションを公表する義務の発生水準が、発行済株式数の0.25%以上から0.50%以上に大幅緩和(約2倍)された。

一方で、保有ポジションの報告については逆に規制が強まり、ポジション報告の残高割合の水準を0.25%以上から0.20%以上と規制が強化された。

ポジションの公表に対する意見と判断

機関投資家などの市場参加者は、競合他社に自社の手口が明らかになってしまうとして、ポジションの開示に消極的な意見が多くみられるが、金融庁の判断としては、すでに導入している欧州の結果や、日本国内における不正取引監視の観点から考えると、今回の規制強化(報告範囲拡大)への抵抗感は少ないであろうとの判断だ。

株の空売りとは

証券会社や他の投資家から実際に株を借りてきて売却し、その株式が値下がりした時に株を買い戻して利益を得ようとする投資手法。

株の空売りによる影響

株価の下落局面においては、株価の下落に拍車がかかると認識されている。
日本を含む主要各国がリーマンショック後に、この株の空売り規制を強化していた。

もう一つの空売り「ネーキッド・ショート・セリング」

通常の空売りは実際に借株を見つけ、貸し手と契約を交わしてから売却する手法を指すが、このネーキッド・ショート・セリングでは、実際に株を借りないで売却してしまう手法。2008年に時限措置としてこの規制が導入され、その後繰り返し延長され恒久化している。ちなみに一般的に個人投資家が行う信用取引による空売りはこれとは異なり、主に大口の機関投資家に対する規制である。

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