業務フローチャートで見える化するメリット
企業が業務フローチャートを利用した業務の見える化を行う場合の目的として、業務マニュアルの整備であったり、各種ISO認証の取得・維持を目的とした品質管理であったり、株式公開(IPO)であったり、システム導入のための要件定義であったりと様々ですが、業務の実態を表現した業務フローチャートの性質から考えると、単純にそれぞれの目的を果たすだけでなく、重要なメリットがあることが分かります。
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業務の見える化を通じた現場の意識改革
業務を業務フローチャートという形に見える化する工程では、実際の現場担当者の参画が不可欠になります。現場担当者が直接業務整理を行う場合も、プロジェクトメンバー(事務局)が行う場合も、どちらの場合も現場担当者は自分の業務を客観視して整理することとなりますが、この客観視というものが重要で、この客観視によってこれまでの意識からは見えなかった視点、改善ポイント、リスクの把握というものができるようになります。
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見える化による現場担当者の意識の芽生え
- 自分の業務を客観的に見る意識
- ムダや重複の発見など、生産性向上への意識
- リスクの発見など、リスク低減への意識
- 自分に関連する周囲の業務への意識
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1.自分の業務を客観的に見る意識
現場担当者は日々の業務に慣れるほど、ルーチンワーク化していきます。それは無意識でも効率的に業務をこなせる一方、その業務に対する意識が希薄になってしまうこと」でもあります。業務の効率面から考えると、何も考えずに業務を円滑にこなしていくことは重要ですし、コスト削減にもつながりますが、その業務に潜む問題点に気づかなかったり、その問題点をそういうものだと受け入れてしまっては、いつまでの改善できない環境になってしまいます。
そこで、自分の業務を客観視できる業務の見える化・業務フローチャートの作成という機会があれば、これまで無意識だった自分の業務を改めて意識することができ、問題点の発見にもつながるようになります。
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2.ムダや重複の発見など、生産性向上への意識
1.の自分の業務を客観的に見る意識、の結果にもなりますが、客観視することにより、いままで無意識がために気づけなかった、無意識が故に受け入れてしまっていた問題点や改善点について気づくことができ、どうやったら問題を解決できるか、どうやったらもっと効率的に作業ができるかなどに意識が向き、自然と生産性の向上に向かっての思考・行動が取れるようになります。
3.リスクの発見など、リスク低減への意識
業務上の問題の中には、企業としてのリスクが含まれていることがあります。各種ISOを通じた品質管理や、内部統制などのリスクマネジメントに関する意識が絡みあうことによって、経営・管理者などの上空からは見えなかった現場視点での業務上のリスクを発見できるようになります。
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4.自分に関連する周囲の業務への意識
多くの担当者は自分の業務、自部門の業務は把握していますが、その前後の業務についてはよく理解できていません。自分が担当している業務が、全体の業務のどの部分を担っているのかが分かれば、前後の業務への円滑な受け渡しはどのような形か、または前後の業務との重複(たとえばやり取りする伝票類の保存・電子化・PDF化など)に気づき、ムダな業務を削減することもできるようになります。
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まとめ
業務フローチャートを用いた業務の見える化・現状把握は、マニュアル、ISO、・・・などの目的を達成するための手段、そしてそれに伴うコストという視点で考えられがちですが、管理者から現場担当者まで、現状を客観視できる新しい視点が芽生えることによって、現場主導型の業務改善、リスク管理など、単なる教育では根付きにくい意識改革を図ることができることも考えて、組織的、継続的に取り組む価値があることを認識すべきです。
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