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事務作業を効率化するなら、二重入力・資料探し・確認待ちを分けて記録し、最初に変える作業を一つ決めましょう。入力の速さだけを上げても、使われない台帳や回答待ちが残れば、仕事全体は進みません。

この記事は、総務や営業事務などの日常業務で「毎日忙しいが、何から減らせばよいか分からない」と感じる担当者向けです。資料送付の受付を例に、ムダの見つけ方、優先順位、変更後の確かめ方を5ステップで説明します。表と数値は説明用の架空例で、実在企業の改善実績ではありません。

1.一つの業務の開始と完了を決める

最初の対象を「事務全般」にすると、調査だけで終わりがちです。繰り返し困っている一つの仕事を選び、どの時点からどこまでを見るかをそろえます。架空の営業事務なら「資料請求を受け付ける」から「資料を送付し、送付記録を残す」までです。商談の追客は今回の範囲に含めません。

直近で完了した一件の依頼、受付記録、送付履歴を開き、実際に通った順に並べます。「普段はこうする」という記憶だけでなく、どこで入力し直したか、誰へ聞いたか、どの資料を探したかを確かめてください。顧客情報を改善用の共有表へそのまま写さず、照合に必要な管理番号などで扱います。

部署全体で対象業務をまだ選べない場合は、先に業務を一覧にします。本記事では一覧の作り方を繰り返さず、選んだ一業務の中にある負担の比較へ進みます。

【業務を一覧にする場合】【業務棚卸フォーマット】Excelひな形と記入例・工数の計算方法

2.二重入力・探す時間・確認待ちを分ける

まずは5営業日など、担当者が無理なく記録できる期間を決めます。これは本記事の始め方の提案で、5日あれば効果を証明できるという基準ではありません。月末だけの処理や例外が入らないなら、その発生時期も別に確認します。

困りごと実物で確かめること最初に考える変更
二重入力同じ項目をどこからどこへ写し、各記録を誰が使うか残す正本と利用先を決め、不要な転記を省けるか確認
資料探し探した資料、保存先、最新版を判断した根拠正式な保存先と版の識別方法をそろえる
確認待ち誰に何を聞き、いつ依頼し、いつ回答が来たか判断に必要な情報、回答担当と不在時の窓口を明確にする

例えば、受付一覧と送付一覧の両方へ会社名と宛先を入力していても、片方が不要とはまだ言えません。利用目的、閲覧権限、残す必要のある項目を担当者と確認します。同じ画面を参照できるなら一本化が候補になりますが、別の管理目的があれば項目の受渡し方法を見直します。

確認待ちでは、依頼文の不足で質問が往復しているのか、判断できる人が一人しかいないのかを区別します。前者なら必要事項を最初にそろえる、後者なら責任者と代替窓口を決める、というように変更する場所が異なります。催促の回数を増やすだけでは原因が残ります。

東京都の公式コラムも、転記や確認待ちを改善対象とし、入力時間以外の変化を見る考え方を示しています。東京都の「現場から始める業務改善」は、その方向性を確認する参考資料です。

3.月の負担と影響を比べ、最初の1件を選ぶ

回数と1回の負担を並べると、声の大きい困りごとだけで決めるのを避けられます。以下は架空の通常月を想定した比較です。各行は異なる作業で、同じ時間を重ねて計上していない前提です。

対象月の仮定比較する量
送付一覧への転記200回、1回2分実作業400分
送付資料の最新版探し40回、1回3分実作業120分
送付可否の回答待ち20件、1件60分経過待ち1200分

400分と120分は、人が実際に作業した時間です。一方、回答待ちの1200分は、その間ずっと人が拘束された時間とは限りません。実作業と経過待ちを足して「月1720分の工数」とはしないでください。催促や再確認に手を使った時間は、経過待ちと区別して記録します。

着手順は、次の順番で判断します。

  1. 誤送付や締切超過など、先に対処すべき問題が起きていないか。
  2. 不要・重複と判断できる根拠があり、変更の影響を関係者と確認できるか。
  3. 繰り返す負担が大きく、小さい範囲で試して戻せるか。

この例なら、転記400分がまず調査する候補です。ただし、送付一覧を別部門が重要な確認に使っていれば、すぐに廃止しません。資料探し120分の方が保存先の整理だけで試せるなら、そこから始める選択もあります。回答待ちで顧客への約束を守れないなら、工数とは別に優先して原因を調べます。

表の負担は削減できる時間の予測ではありません。転記の確認や記録の一部は残り、仕組みを整える時間もかかります。「400分あるから400分減る」と見積もらず、何を省き、何を残すかを決めてから試します。

4.変更を一つに絞り、通常と例外を試す

例えば資料探しを選んだら、対象を一種類の送付資料に絞り、正式な保存先、更新担当、最新版の表示を決めます。入口を増やさず、受付担当がそこから取り出せるかを試してください。既存の道具で実現できるなら、最初から専用製品を導入する必要はありません。

転記を見直す場合は、入力元と転記先の項目を一つずつ対応させます。件数が合っていても、宛先の欠落、別案件へのひも付け、訂正の反映漏れがあれば成功ではありません。試験用の資料で通常の受付と、宛先変更・送付取消などの例外を確かめ、責任者が実施範囲を決めます。

自動化は、この受渡し条件が決まってから検討します。AIによる文面整理、定型転記の自動化などを使う場合も、何を正しい結果とするか、不明時にどこで止めて誰が判断するかを先に定めます。社内で許可されていない外部サービスへ顧客情報や業務資料を投入しないようにしてください。

試行メモには、対象、変更する点、担当者、確認日、確認する数字、元へ戻す条件を残します。例えば「最新版が特定できない場合は送付前に資料管理者へ確認する」と決めれば、効率化のために誤った資料を送る事態を防ぎやすくなります。

5.同じ条件で比べ、続けるかを決める

改善前後では、対象業務、件数の数え方、記録する時間の範囲をそろえます。担当者の作業だけでなく、依頼する人や後工程に増えた入力・確認も含めます。最初の設定・教育時間は別欄へ残し、日々の時間だけを減らして採算が取れたとは扱いません。

計算方法の架空例として、変更前100件の総作業時間が500分、変更後80件が320分だったとします。合計は180分減っていますが、件数も違います。1件平均なら変更前5分、変更後4分で、差は1分です。前後とも同じ範囲の作業時間を測った場合の計算であり、改善が実証された数字ではありません。

簡単な依頼が増えた、繁忙期が終わった、担当者が変わったなどの条件差も確認します。平均だけでなく、極端に時間がかかった案件の理由、誤りや差し戻し、回答までの時間も見ます。短期間で数件しか起きなかった問題は、偶然起きなかった可能性があるため「解消済み」と断定しません。

  • 負担が減り、誤りや他部門の負担も増えていない … 継続する範囲と更新担当を決める。
  • 時間は減ったが誤りや問い合わせが増えた … 変更点を修正し、対象を広げる前に再確認する。
  • 件数や条件が違い判断できない … 比較条件を記録し、同じ種類の業務で観察を続ける。

採用した手順は、通常の運用へ反映します。試行中の口頭説明だけで終わらず、担当が交代しても同じ保存先や判断条件を使える状態にします。

【手順を共有する場合】【業務マニュアルの作り方】6ステップとひな形・事務の記入例

事務作業の効率化でよくある疑問

二重チェックは減らしてもよいですか?

同じ項目を見ていても、誤送付や誤登録を防ぐ役割がある場合があります。チェックの目的、実際に見つかった誤り、後工程への影響を責任者と確認します。削減が妥当か判断できないなら確認を残し、入力元の改善や確認項目の明確化から始めます。J-Net21も、業務を見直す際に必要なチェックを検討するよう説明しています。

ExcelやAIを導入すれば効率化できますか?

道具だけでは、不要な入力や曖昧な判断条件はなくなりません。入力元、正本、完了条件、例外時の担当を決め、その条件を満たせる機能を選びます。選定時は実際の環境で使えるか、保守する担当がいるか、運用費や確認作業も含めて負担が見合うかを確かめてください。

最初の改善を決める記入メモ

次の項目を社内のメモへ写し、一つの作業について埋めてみてください。不明な部分は無理に数字を置かず、確認する人と資料を決めます。

  • 対象業務と範囲 … 何を受け取り、何ができれば完了か。
  • 困りごと … どこへ写す、何を探す、誰の何の回答を待つのか。
  • 現状の根拠 … 対象期間、回数、実作業時間、経過待ち、確認した資料。
  • 最初の変更 … 省くもの、残す確認、影響を受ける人。
  • 試し方 … 担当、範囲、通常・例外の確認、元へ戻す条件。
  • 比較と判断 … 件数あたり時間、誤り、他担当の負担、確認日。

最初の一歩は、忙しさを一括して「事務が多い」と呼ばず、転記・探す・待つのどこに負担があるかを実物で確かめることです。省ける根拠と影響を確認し、小さな変更を一つ試すところまで進めましょう。

参考資料

上記は一般的な考え方を確認した資料です。本記事の5ステップ、比較表、記入メモと数値例は編集上の提案として独自に作成しています。