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業務棚卸は、業務名だけでなく、担当・発生回数・1回の作業時間を同じ基準で並べると、見直す仕事を比較しやすくなります。この記事では、そのまま入力できるExcelひな形と、総務・事務を想定した記入例を用意しました。商品の在庫数を数える棚卸表ではなく、仕事の内容と工数を整理するためのフォーマットです。

業務棚卸フォーマットをダウンロードする(Excel)。「記入用」と「記入例」の2シート、各20行です。登録フォームの入力は不要です。マクロは使っていません。青い欄へ入力すると、灰色の欄に月の工数が表示されます。

このひな形と以下の数字は本記事用に作成したものです。記入例は架空であり、実在企業の業務量や改善実績ではありません。計算結果は入力した条件に基づく概算で、削減可能な時間を意味しません。

まず対象部署と対象月を決める

配布前に「誰の、何月の、どこまでの仕事を書くか」を決めます。例えば「総務担当2人の通常月の受付業務」とすれば、全社業務を一度に埋めるより確認しやすくなります。ひな形の3行目を自社の部署名・対象月・対象範囲へ書き換えて使ってください。

業務の集め方や聞き取りの進め方は、現状把握の進め方とポイントで扱っています。このページは、集めた仕事を入力し、同じ単位で比べる表の使い方に絞ります。

フォーマットの入力項目と書き方

入力する欄書く内容・基準
業務ID・大分類・業務名番号、総務・経理などのまとまり、実行する作業名。例は「備品貸出受付」
担当個人名か役割名を、配布範囲に合わせて記入
発生単位・回数/月日・週・月などの発生の仕方と、対象月に行う実際の回数
分/回/人・人数/回1人が1回に手を動かす分数と、その作業に参加する人数
成果物・困りごと・確認日作業の終了を確認できるもの、二重入力等の問題、聞き取りや計測を確認した日

「人時/月」と「入力状態」は計算欄です。数式を消さずに使います。回数・分数・人数のいずれかが空欄なら、工数も空欄になります。「入力途中」と表示される行は、必要な数値を確認してから比較してください。分からない値を0で埋めると、仕事がないように見えてしまいます。

大分類は部署名や業務分野など、今回の範囲で意味が通るものにそろえます。業務名は「総務業務」のような大きい単位と「台帳に日付を入れる」のような細かい操作を同じ列に混在させないことが大切です。例えば、申請の受領から台帳登録までを1行にするなら、他の受付作業も同程度のまとまりで記載します。

月の工数は回数・時間・人数から計算する

月の工数(人時)=月の回数×1回の時間(分/人)×1回の人数÷60です。「人数」は担当候補の人数ではなく、1回の作業に実際に参加する人数を入れます。交代で対応する受付なら通常1人、同時に2人が参加する打合せなら2人です。

架空の業務回数/月分/回/人人数/回人時/月
備品貸出受付2051約1.67
部内打合せ43024.00
月次集計112012.00

打合せは30分×4回で、経過時間は月2時間です。2人が参加するので、人の投入量は月4人時になります。会議前の資料作成を別行にした場合は、会議の30分に同じ準備時間をもう一度含めないでください。

毎日の仕事も、対象月の営業日が20日なら20回、22日なら22回です。週1回の仕事をすべて一律に4回へ変換せず、対象月の日程を確かめます。繁忙月と通常月の差が大きい仕事は、対象月を分けて記録し、片方だけで年間の負担を断定しません。

ひな形の合計は入力済み行だけの合計です。未記入の仕事や未確定の数値が残っていれば、部署全体の総業務量とは呼べません。端数は表示上の丸めなので、行の表示値を手計算で足した値と合計欄がわずかに違う場合があります。

二重計上と待ち時間の混入を防ぐ

起きやすい問題そろえる基準
同じ仕事を部署単位と担当者単位の両方で計上集計対象を1つに決め、重複する行は業務IDで照合する
申請から承認までの待ち時間をすべて作業時間にする実際に手を動かす時間を工数へ入れる。待ち時間は困りごと欄へ分けて残す
人数と回数の両方に担当人数を掛ける1回の定義を決め、同じ人の時間を二重に掛けない
不定期業務を0回で固定する対象月の実績または見積りの根拠を残し、発生しなかった月の0と未調査を区別する

数値の根拠は、可能なら作業記録・予定表・実測を使います。聞き取りによる見積りなら、困りごと欄などにその旨を残してください。精密そうな数値を作るより、どの月・どの範囲の値かが後から分かることが重要です。

入力した表から改善候補を選ぶ

まず「入力途中」「値を確認」の行を解消し、業務が抜けていないか担当者と確認します。その後、工数が大きい行だけでなく、二重入力・差戻し・担当者不在時の停止など、困りごとが具体的な仕事を見ます。工数が大きいだけで、不要な仕事とは判断できません。

例えば備品貸出受付で二重入力があるなら、「どの項目をどの台帳へ写しているか」「片方の記録を残す必要があるか」を確認します。廃止・統合・手順変更の可否は業務責任者と決め、先に自動化製品を選ばないようにします。AI活用まで検討する場合は、バックオフィスAI導入の進め方も参照してください。

表は人の能力を順位付けするためのものではありません。例外対応、相談、繁忙期の負荷など、時間だけで表れない役割を確認したうえで、手分けや標準化の判断材料にします。

よくある疑問

20行で足りないときは? このファイルの自動計算範囲は6~25行です。行を増やす場合は計算式・入力規則・合計範囲も延長する必要があります。最初は部署や対象月ごとにファイルを分けると、変更範囲を抑えて使えます。

同じ仕事を複数人が交代で行う場合は? 受付全体の回数と1回に対応する人数を記入するか、担当別に回数を分けて記入するかを統一します。全体の回数を各担当へ重複して入力しないでください。

担当者名をどこまで書いてよい? 社内の共有範囲や情報管理ルールに従ってください。役割名で目的を満たせるなら個人名を不要に増やさず、顧客情報・認証情報・機密の案件名はひな形へ入れないようにします。

Excelひな形をダウンロードする。まずは対象月と範囲を決め、日常業務を数行入力して、別の担当者と粒度・回数・時間の基準を確認してください。

参考資料

リコーの業務棚卸の解説は、実施範囲、項目、回収後の確認と更新の考え方を確認する資料です。本ページのExcelと記入例は独自に制作しており、同社の様式を転載したものではありません。